【開催レポート】ハンズオンセミナー 「明日から自分の大学で使えるCopilot Studioを用いた 大学業務支援システム開発講座」
主催:広島大学 情報メディア教育研究センター
共催:大学ICT推進協議会(AXIES)クラウド部会
後援:総務省中国総合通信局,中国情報通信懇談会,情報処理学会中国支部,電子情報通信学会中国支部,広島地域IPv6推進委員会
2026年3月18日(水)に、広島大学東千田キャンパス東千田未来創生センターで開催された「大学等におけるクラウドサービス利用シンポジウム2026」において、ハンズオンセミナー「明日から自分の大学で使えるCopilot Studioを用いた大学業務支援システム開発講座」を実施しました。オンライン参加と現地参加合わせて約50名の方が参加しました。
本ハンズオンセミナーの実施は、2021年から数えて6度目となります。これまでのハンズオンセミナーでは、チャットボット開発や施設・備品管理システムの開発、イベント参加受付システムの開発とイベント受付状況の可視化、落とし物管理システムの開発などを実施してきました。AI元年と言われる今年度は、AIエージェント編として「休暇申請受付AIエージェント」と「休暇申請確認AIエージェント」という2つのAIエージェント開発を体験していただきました。
※ハンズオンとは
ハンズオンとは、説明を聞くだけでなく、実際に操作しながら学ぶ体験型の研修です。
”明日から使える”に込められた思いとAIエージェントの大学業務における活用可能性
本ハンズオンセミナーは、大学・企業を問わず、参加者が自組織に持ち帰り、すぐに応用できる知見を得られるようにという思いが込められています。本ハンズオンセミナーで扱う題材そのものではなく、他の業務にも転用できる“考え方の型”を持ち帰れるよう、単なるツール紹介や事例共有にとどまらず、「業務支援システムをどう設計し、どの現場に適用するか」という思考を促す構成となっています。
具体的には、「休暇申請受付AIエージェント」と「休暇申請確認AIエージェント」という2つのAIエージェント開発を通じて、システムを「受付」と「確認」に分けるという構造の“型”が提示されました。この設計の型を掴むことで、特定のプラットフォームに依存することなく、稟議や出張、問い合わせ対応など、参加者が自身の組織の様々な業務現場に置き換えてAIエージェントを応用できるようになります。最後に設けられたアイデア創出ワークショップを含め、汎用的な知見を持ち帰っていただくことが本ハンズオンセミナーの最大の狙いです。
こうした「業務の捉え方」や「設計の型」を重視する考え方は、本ハンズオンセミナーだけにとどまらず、香川大学が日頃から取り組んでいるDX推進の姿勢とも深く結びついています。
講演「香川大学のDX推進の取組」
本ハンズオンセミナーの冒頭では、香川大学 情報化推進統合拠点 DX推進研究センター 副センター長の山田哲教授による講演を行いました。
講演では、システム開発において「何を開発するか」をベンダー企業に丸投げするのではなく、ユーザー企業(大学)自身が要件を確定させることの重要性が語られました。香川大学では、Microsoft Power Platformなどのローコード・ノーコードツールを活用し、最低限の機能、MVP(Minimum Viable Product)を特定し、仮説検証型のアジャイル開発で内製開発をおこなっています。
また、これらの開発プロジェクトのほとんどは香川大学情報化推進統合拠点DX推進研究センターに設置した学生主体のDXラボが中心となって実施しており、これまで100件を超える業務システムが開発されてきました。情報部門だけでなく、事業部門の一般職員もハンズオンやアンバサダー制度を通じてDX推進に取り組む仕組みが学内に構築されていることを紹介しました。
本ハンズオンセミナーは、こうした香川大学のDX推進の考え方を背景に、参加者自身がそのプロセスを体験的に学べる場として設計されています。
ハンズオンで得られるもの
こうした香川大学のDX推進の考え方を踏まえ、本ハンズオンセミナーでは、「業務システム内製開発~AIエージェント編」として、Microsoft Copilot Studioを用いたAIエージェント開発を体験していただきました。単にツールの操作方法を学ぶのではなく、大学業務をどのように分解し、どこにAIエージェントを組み込むと効果的かという業務設計の考え方を重視しています。
具体的には、「休暇申請受付AIエージェント」と「休暇申請確認AIエージェント」の開発を通じて、以下の設計のプロセスを段階的に体験しました。
- 人が行っている業務を「情報を受け取る業務」と「判断・確認する業務」に分けて整理すること
- そのうち、どこまでをAIエージェントに任せ、どこまでを人が担うかを考えること
まずはハンズオン第1部「プロンプトエンジニアリングを体験しよう」で、Copilotチャットに質問を入力し、質問内容をより具体的な内容にすることで回答内容が変化していくことを体験しました。
続くハンズオン第2部でMicrosoft Copilot Studioを用いた「休暇申請受付エージェント」の開発を体験しました。「休暇申請受付エージェント」には申請内容を聞き取り、必要な情報が揃っているかを確認する役割を持たせました。参加者は、休暇申請者に対して休暇の種類・取得日・期間理由などを対話形式で質問するフローを作成しました。入力された内容をもとに未入力項目があれば再度質問したり、明らかに不自然な内容には注意喚起をおこなうよう設定しました。最後に、これまで入力された申請内容を一覧で表示させ申請者に確認を求めるように設定しました。ここでは、「人が口頭で確認していることを、AIとの対話にどう置き換えるか」を意識しながら開発しました。
第3部「休暇申請確認エージェントを開発しよう」では、第2部で開発した「休暇申請受付エージェント」が整理した申請内容をもとに、「学内規程に照らして問題がないか」や「確認者が見るべきポイントはどこか」などを自然言語で整理・提示する役割を持たせました。参加者は、「最終判断は人が行う」ことを前提に、「人の判断を助けるために、AIにどこまで整理させるか」という線引きを意識しながら開発しました。ハンズオンの後半では開発した2つのAIエージェントの構造をもとに、自組織の業務にどう置き換えられるかを考えるワークショップを実施しました。
こうした「考えながら手を動かす」ハンズオンセミナーを支えたのが、香川大学の内製開発を担うDXラボの学生スタッフです。本ハンズオンセミナーでは学生スタッフが中心となり司会進行と講師、サポートスタッフを務めました。現場で手を動かしている学生がどのように考え、つまずき、工夫しているかという試行錯誤のプロセスを参加者が追体験できる構造になっており、つまずきを「失敗」ではなく「学びの起点」として一緒に言語化して学ぶ姿勢を重視している点も本ハンズオンセミナーの大きな特徴です。
実際の業務を題材に、受付と確認という構造に落とし込み、AIと人の役割分担を設計する、その一連のプロセスを体験することで、参加者は「自分の大学に持ち帰って試せる具体像」を描くことができるような内容となっています。本ハンズオンセミナーへの参加者の7割が「システム開発」や「DX推進」の経験が「まったくない」あるいは「ほとんどない」方々でしたが、参加者アンケートでは9割を超える方が「自分の業務に置き換えてエージェント開発ができそう」と回答し、参加者の高い満足度と実践への意欲が表れる結果となりました。
本ハンズオンセミナーは、単に完成された手順をなぞるのではなく、「なぜこの構成にしているのか」「別の業務に置き換えるとしたらどう設計するか」といった問いを考えながら手を動かすことで、自組織の業務に転用可能な考え方の型を身につけられる内容となっています。
まとめ
香川大学が実施するハンズオンセミナーは、「高度な技術を教えること」そのものを目的とするのではなく、「明日から使える」という題目のとおり、参加者が自組織の業務に置き換えてすぐに転用できる“考え方の型”を持ち帰れるよう設計されています。香川大学は、DX推進をこれから始める組織や、すでに取り組み始めたものの次の一手に悩む組織に対して、共に考え、試行錯誤を重ねる実践的な学びの場を今後も提供していきます。
本ハンズオンセミナーがDXやAIに関心のある高校生、大学生、社会人の方にとっても、「香川大学での学びが、社会や仕事とどうつながっていくのか」を考えるきっかけになれば幸いです。
カダプラでは今後も香川大学での学びや実践を発信していきます。
ハンズオンに関心のある高校・大学・企業・団体の皆さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。


関連リンク
(参考)大学等におけるクラウドサービス利用シンポジウム2026 | センター紹介 | 広島大学情報メディア教育研究センター

