社会・組織の課題を支えるDXに挑む「MICE誘致における主催者の要求整理に向けた実行性検証システムの開発」|香川大学大学院 創発科学研究科 簑原海斗さん

香川大学DX推進研究プロジェクト成果報告会では、学生主体で取り組まれた19の研究プロジェクトが発表されました。本記事では、その中から、MICE(国際会議や展示会などの大規模イベント)誘致における課題にDXで挑んだ、大学院生・簑原海斗さんの研究を紹介します。


Q:研究内容について教えてください

MICEでは、開催直前や当日に想定外の問題が発生し、現地スタッフの業務工数が大きく増加してしまうことが課題となっています。こうした手戻りを防ぐため、開催地選定の段階で主催者の要望が実現可能かどうかを仮想空間でシミュレーションする仕組みに着目しました。

主催者の要求を事前に可視化し、実行性を検証することで、問題の未然防止だけでなく、主催者と誘致担当者の合意形成にもつながると考えています。この仕組みは、MICE分野におけるDXの推進にも寄与する研究です。


Q:発表に対して、どのような反応がありましたか

大学職員や自治体関係者からは「自分たちが主催するイベントでも同様の経験がある」といった共感の声が寄せられました。地域にとってMICEが重要な産業である点からも、着眼点を評価するコメントが印象に残っています。

当初は、MICEはあまり知られていないニッチな分野であると考えていましたが、大学や地方自治体の方々にとって関心の高いテーマであることを再認識しました。

また企業の方からは、MICEに限らずさまざまなイベントへ応用できる可能性についても言及がありました。今回はMICEを対象としていましたが、今後は他分野への展開も視野に入れていきたいです。


Q:今後の研究について教えてください

今後は、ステークホルダマネジメントの視点を取り入れたいと考えています。今回の研究では主催者と誘致担当者という2つの属性に焦点を当てましたが、実際のMICEでは、それぞれの立場の中にも多様な役割や経験を持った関係者が存在します。

さらに、現地スタッフやイベント参加者など、多様なステークホルダが関わるMICEにおいて、それらを考慮できるシステムへと発展させていきたいと考えています。

将来的には、MICEに限らず地域活性化に貢献できるDXの推進に携わりたいです。本研究で扱ったテーマを起点として、デジタルの力を通じて地域の魅力や価値を高め、課題解決に寄与したいと考えています。


Q:香川大学 創造工学部を目指している高校生にひとこと

私の場合、研究室での活動に加え、DXラボに学生スタッフとして参加し、大学のDX推進にも携わることができました。この環境の中で貴重な経験ができたと感じており、そこで培った力は社会人になってからも活かせると考えています。


まとめ(編集部より)

本研究は、MICE誘致という実務に即した課題に対し、仮想空間を活用した検証というアプローチで解決を図る点に特徴があります。事前の可視化と合意形成を支援する仕組みは、イベント運営の効率化だけでなく、組織間連携の質向上にも寄与する可能性を持っています。また、発表を通じて得られた多様な視点を踏まえ、研究の対象を拡張しようとする姿勢からは、社会実装を見据えた実践的な学びがうかがえます。

香川大学におけるDX推進研究プロジェクトは、地域課題の解決や新たな価値創出にもつながっており、本研究のような実践的な取り組みが、今後のさらなる展開にもつながっていくことが期待されます。

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