AIと自然な会話を実現する学習データづくりに挑む 「小説を用いた雑談対話コーパスの自動構築とその分析に関する研究」|香川大学大学院 創発科学研究科 岩本和真さん
香川大学DX推進研究プロジェクト成果報告会では、学生主体で取り組まれた19の研究プロジェクトが発表されました。
その一つが、AIとの自然な雑談を支える学習データの整備を目指した「小説を用いた雑談対話コーパスの自動構築とその分析に関する研究」です。本記事では、本研究に取り組んだ香川大学大学院 創発科学研究科の岩本和真さんに、研究内容や成果報告会における来場者からの反応について話を聞きました。
Q:研究内容について教えてください
雑談対話システムとは、ユーザーと雑談をしながら自然な会話を続けるAIシステムのことです。例えば、天気や趣味、日常の出来事などについて人と会話するようにやり取りするシステムが該当します。
このようなシステムを作るには、AIに会話のパターンを学習させるための「雑談対話コーパス」が必要です。雑談対話コーパスとは、人同士の会話データを集めた学習用データセットのことで、AIはこれを学ぶことで自然な受け答えができるようになります。しかし、その構築には人手で大量の会話データを作成・整理する必要があり、大きな手間がかかるという課題があります。
そこで私は、小説の台詞を用いて雑談対話コーパスを自動構築する手法を提案しました。人が一つひとつ対話データを作成する負担を減らしながら、雑談対話に活用できるデータを整備できる点が特徴です。この研究により、AIがより人間らしい雑談を行うための学習データとして活用できる可能性があると考えています。
Q:発表に対して、どのような反応がありましたか
雑談対話というテーマに興味を持ってくださる方が多くいました。「AIがどのように自然な会話を学習しているのか」「学習データを効率的に作ることができれば、より自然な対話AIの実現につながるのではないか」といった質問や意見をいただきました。
研究内容そのものだけでなく、AIと人との自然なコミュニケーションを支える基盤技術としても関心を持っていただけたと感じています。
Q:今後の研究について教えてください
今後は、提案した自動構築手法を実際に用いて雑談対話コーパスを作成し、そのコーパスを活用してAIの雑談対話能力を向上させる研究を進めたいと考えています。また、この研究を通して身につけた言語処理の技術を、他の課題やタスクにも活用していきたいと考えています。
将来的には、AIがより自然に人と会話できるようになることで、高齢者の話し相手や学習支援ツール、日常生活をサポートする対話サービスなどへの応用も期待されています。
Q:香川大学大学院 創発科学研究科を目指している高校生・学部生・社会人の方にひとこと
創造工学部・創発科学研究科では、先進的な研究に取り組めることに加え、外部との交流の機会も多くあります。そのため、研究を深めるだけでなく、さまざまな立場の人と関わりながら、多角的な視点で物事を考える力を養える環境だと思います。
まとめ(編集部より)
本研究は、AIによる自然な雑談対話を実現するために欠かせない「雑談対話コーパス」の構築を効率化することを目指した取り組みです。小説の台詞を活用して対話データを自動生成することで、人手によるデータ作成の負担を軽減しながら、対話AIの学習に活用できるデータを整備しようとしています。成果報告会では、雑談対話そのものへの関心に加え、AIと人との自然なコミュニケーションを支える基盤技術として研究の意義に注目が集まりました。今後は構築したコーパスを活用し、AIの雑談対話能力を向上させる研究へと発展していくことが期待されています。
岩本さんの研究は、生成AIや自然言語処理の発展を支える基礎研究でありながら、将来的には高齢者の話し相手や学習支援など、人に寄り添う対話AIの実現につながる可能性を持っています。AIとの会話をより自然で身近なものにする未来を支える研究といえるでしょう。
関連リンク
【開催レポート】2025年度香川大学DX推進研究プロジェクト成果報告会


